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YAMAHA Audio Pre-Main Amplifier A-6 X電源修理 (メモ) (2015年12月) (update 2024年3月)
1981年に購入して34年もの長期間にわたり愛用してきた ヤマハ製オーディオステレオ プリメインアンプ A-6。
現在では当たり前になっている スイッチング電源を HiFiアンプに草分け的に採用したアンプ。
ヤマハは この電源回路をX電源と謳っている。 100W+100Wの高出力にもかかわらず、低出力時は
低消費電力になるのが特徴である。
あいにく 先日(2015年12月) 突然電源が入らなくなった。
以下は その時のメンテナンス(修理)作業メモです。
YAMAHA A-6 外観
★ YAMAHA A-6 取り扱い説明書 (PDF down load)
8.追記 もう一台と入れ換え(メモ) 2020年4月21日
1)従来機は全体的に各スイッチの切り換えがスムーズでなくなってきた。
この機会に、以前保守部品取りのためにオークションで購入しておいたジャンク品を見直した。
2)購入した品は、電源が入らないとの理由でジャンク扱いだったが、パイロットランプが断線して
いただけだった。この機種の複数の表示ランプは直列接続の定電流駆動のため、パイロット
ランプが切れると全体の動作状況がわからなくなる特徴がある。
3)ジャンクは以下の問題点を改善したところ安定に動作するように回復できた。
・表示のランプは全交換。(スタンレー社のムギ球 12V,70mA)
・VR、FN-SWのナット締め
・内部掃除、ケースは水で丸洗い、プリント基板はアルコール拭き
・つまみ類は金属製の外側とプラスチック製の中側を再接着
・底カバー板の足部の凹みをたたき出し修正
・リレーを外し接点磨き
・基板の支えゴムを外し炭化部分を切り取り
4)従来品と入れ換え
機材を入れ換えることに決め、外見がきれいな従来機から、正面パネルとケース(上下)を外して交換した。
5)回路の調整
発熱が大きくかったので、アンプの動作点の最適化で低電力化を行った。
・電源電圧が +/- 56.2Vと高めであった。VR305で規定の52Vに調整。(VR305は下限位置になった)
最終的にVR305に接続されている17kΩと並列に20kΩの半固定VRを追加し、+/- 48Vに調整した。
・VR304(右Ch用)により、終段エミッタの 0.33Ω x 2 = 0.66Ω両端(T/P)電圧を35mVに調整した。
(終段アイドリング電流 Id = 53mA相当)。同様に左Chも調整した。
従来:右Ch 142mV, 左Ch 110mV。 この調整で動作モードが AB+級 AB-級に変わったかもしれない。
・これらの調整により発熱は かなり軽減され、AC100V入力の全体消費電流は 0.9A → 0.54Aになった。
(室温22℃、ケース上部隙間温度29℃の定常状態で計測。温度依存が非常に大きい)
6)従来機の処置
前面パネルやケースは、ジャンク品をクリーニングし従来機として組み立てた。
従来機は別の室で LPレコード再生用のサブ機として使用することにした。
7)参考データ
・従来機種: SN = 111781、 ジャンク機種: SN = 128138
・100V電源電流: AMP: 0.54A、
チューナ:: 0.05A、
カセットデッキ: 0.13A (stand by 0.10A)、
CD プレーヤ: 0.05A (stand by 0.03A)
・パネルを外した2台 (パネル交換前)
左: 従来機 (パネルがきれい)、右: ジャンク機 (ランプ交換後)
・パネルを外した2台 (パネル交換前)
左: 従来機 (パネルがきれい)、右: ジャンク機 (ランプ交換後)
・パネル交換後
左: 従来機、右: ジャンク機 (きれなパネルになった)
・パネル交換後
左: 従来機、右: ジャンク機 (きれなパネルになった)
9.追記。 突然またX電源が壊れた。 修理メモ 2023年3月31日
・壊れたときの症状
使用中に突然スピーカーから2秒ほど「ブー」と音が出て、続いて「バン」と音を出して停止した。
ケースを外して見ると15Aのヒューズが飛んでいた。
前記 第1項の時の状況と酷似していたので、まずトライアックの故障を疑いトライアックを
検査したが、外観・電気的に異常はなかった。
念のためストック品のT25C6Fと交換してみたものの改善せず最終的には元に戻した。
・結論
今回は原因調査に1週間ほどかかリました。難儀しましたが一言で言うと、
「フォトカップラーICの受光トランジスタのB-C(6-5pin)間にリーク物質が付着」
して、DC電源電圧が異常に上昇したこと」が原因でした。
処置としては簡単で、ゴミをエアーダスターで吹き飛ばして解決しました。
以下に経過を書き残します。
1)トライアック交換後
トライアックを交換して電源をON。約15秒後に内部で、「バシッ」と音がして、その後トランスから
「ブー」と異音がでてヒューズが切れた。後から判ったことだが、
「バシッ」音は今回の故障の初期にDC電源電圧が異常に高くなってB+側のコンデンサをGNDに
ショートさせ、この大電流で基板のB+ラインのパターン銅箔が焼き切れた時の音のようである。
「ブー」音は、トライアックの制御回路の異常によりトランスの1次側に半波整流電流が流れて、
直流分でて鉄心が磁気飽和して唸ったようです。この結果、トランスの1次コイルのリアクタンスが
低下して大AC電源電流が流れてフューズが切れたと考えられる。
2)電源の基板を分離して調査
X電源は、@メイン基板上にブリッジ整流回路と平滑コンデンサがあり、その直流電圧(B+,B-)
の監視回路があって、電圧状態をDC電流の大きさで表し電源基板にフィードバックしている。
A電源基板上では電圧状況信号受けトライアックのON位相タイミングを制御することでB+,B-電圧を
適正化している。
ループを生かしたままでは原因調査ができないのでループを開いて各部品の動作をチェックした。
トライアックのゲート接続と制御電流配線接続の2カ所を切り離しループを解除した。
X電源基板を分離して調査
そして、オシロスコープでトライアックのトリガタイミングを確認。
B-chは、ヒューズ側のACラインの波形。フローティングのため振幅は約1/2。(シャーシー=GND)
A-chは(トライアックとの接続を外した)トリガ信号。(シャーシー=GND)
トリガパルスはAC波形のピーク付近で出ており、かつ+側の波形がおかしいことに気が付く。
制御端子に2V(Id=約1mA)を加えると、少しだけトリガタイミングが変化した。
各部品を細かく確認し再半田しても異常は見つからず、結果としてHyblid ICの不良を疑った。
だか、一晩放置したあとで再確認するとトリガの位置がリーゾナブルの位置に変わっていた。
時々このような正常なタイミングになることがある
しかし10秒ほどで元に戻ってしまう。一方ゲートのパルスのタイミングが
時折ジラジラと変化する現象も見つかった。これは怪奇現象です。
4)Photoカップラー受光トランジスタの作用の解釈
いよいよ諦めムードになってきたが、Photoカップラーの受光TRの働きについて
再検討(学習)してみた。これは、光の量によって変化する抵抗器として働いている。
ダイオードブリッジは受光TRがACラインの両極性とちらでも働くように設けられているもの。
このダイオードの+側と-側すなわち受光TRの抵抗値を測定すると、光がないときは
無限大になるはずだが、ある抵抗値を示し、かつその値が安定しない。
この受光TRはベース電極を引き出してあるタイプである。TRのコレクタとベース間に
わずかにでもリークがあると全体の抵抗値が下がる特性を持ちます。
試しに、この(DIP-6)フォトカップラーICの5-6pin間にエアダスタを吹きつけたら
見事に無限大に一変し安定した。そしてゲートのパルスのタイミングも安定した。
左: Id=0mAの時のタイミング 右: Id=2.4mA(Vcont= 3.5V)の時のタイミング
5)原因・対策の総括
上記から故障のメカニズムは次のように説明できる。
・受光TRの5-6pin間に何らかのゴミ(纖維?)が付着し、周辺の状態(湿度等)によりわずかなリークが発生。
・受光TRが異常に導通して、DC電源電圧を上昇させ電源コンデンサを破壊しショートモードに。
・B+電源のショートで電源とトランスのバランスが崩れて鉄心飽和が起き、「ブー」音、ヒューズ断。(故障)
・リークの不安定さのため受光TRの抵抗値が不安定になり、結果トリガタイミングが不安定状態になった。
・解決策としてリーク物質を吹き飛ばすことでトリガタイミングが正常化した。
・トライアックが原因でなかったので元に戻した。
・ショートしたB+側のコンデンサとB-側の1個のコンデンサは外してあるが、通常音量であれば特に支障がない。
後日購入して追加する予定です。
(2023.8.27追記: 秋月で形状が類似している 4700uF、63V、105℃のケミコン(@\300)を2個購入し交換(追加)した。
少し容量不足だか同じ形状の物を探せなかったのでガマン。)
6)フィードバック電流とトリガパルス位相
・フィードバック電流(フォトカップラーのLED駆動電流Id)とトライアックを導通するトリガパルスの位相角の関係をグラフにしました。
Id=1.2mAの時 B+,B-の電圧 が+/- 52vになる。
9-2.追記。
突然またX電源が壊れた。 修理メモ 2023年11月27日
・壊れたときの症状 (前回と同じ)
初回機のPT板が入っているアンプを使用中に突然2秒ほどスピーカーから「ブー」と音が出て、
続いて「バン」と小さな音を出して停止した。ケースを外して見ると6Aのヒューズが飛んでいた。
・結論
今回は修理は半日で、短時間で終息。(修理慣れは恐ろしい)
X電源の基板のフォトカップラーの入力端子を2本共外し、トライアックのゲートをOPENにした後、
オシロと直流電源やテスタを使って電源のAC波形とゲート制御波形を便りに原因を調査した。
その結果、トライアックの位相が最大電圧の-90度付近に張りついていて、フィードバック制御が
効いていないことが判明した。しかし故障個所をいろいろ探ったが原因を特定できなかった。
オシロのプローブをいろいろな部品のリードに引っかけて調べて行く内に、いつのまにか
トリガ位相が正常の位置に変わっていた
原因は特定できなかったが、PCBの表裏をIPAで清掃して、部品を再半田する処置に留まった。
またしばらく様子を見てみよう。
・電源OFFの時、大きなAC電流が流れることがあるので フューズは 3Aでは(OFF時に)飛ぶ。
3Aフューズ線を4本パラ(12A?)に接続した。(定格フューズ15A)
10.YAMAHA A-6 仕様概要 詳細は 取扱い説明書(PDF) を参照
機種の定格 | |
型式 | プリメインアンプ |
実効出力(20Hz〜20kHz、歪0.01%) | 100W+100W |
パワーバンド幅 | 10Hz〜50kHz(50W、歪0.02%) |
ダンピングファクタ | 55 |
入力感度/インピーダンス | Phono MM:2.5mV/47kΩ |
Phono MC:250μV/100Ω | |
Tuner:150mV/47kΩ | |
最大許容入力(歪0.01%) | MM:180mV |
MC:18mV | |
出力電圧/インピーダンス | rec out:150mV/550Ω |
周波数特性(Main Direct On) | Tuner→SP Out:DC〜100kHz +0 -2dB |
RIAA偏差 | 20Hz〜20kHz ±0.2dB |
全高調波歪率(20Hz〜20kHz) | MM→Rec Out(5V):0.003% |
MC→Rec Out(5V):0.006% | |
Tuner→SP Out(50W):0.005% | |
混変調歪率(60Hz:7kHz=4:1) | Tuner→SP Out:0.002% |
SN比 | Phono MM:86dB |
Phono MC:70dB | |
Tuner:103dB | |
入力換算雑音 | Phono MM:-138dBV |
Phono MC:-147dBV | |
残留ノイズ | 183μV |
チャンネルセパレーション | MM→SP Out:70dB |
(入力ショート、1kHz、Volume-30dB) | |
トーンコントロール | Bass:±10dB(20Hz) |
Treble:±10dB(20kHz) | |
フィルター | 12dB/oct、10kHz |
コンティニュアス最大補正量 | 20dB(1kHz、聴感補正カーブ) |
電源電圧 | AC100V、50Hz/60Hz |
定格消費電力 | 165W |
ACアウトレット | 電源スイッチ連動:2系統 |
電源スイッチ非連動:1系統 | |
外形寸法 | 幅435×高さ112×奥行365mm |
重量 | 9.1kg |