工作室のページ
SONY Tapecoder TC-K55 ゴムベルト交換修理 (2012年3月) ( update: 2015年5月1日 )
1979年に購入して33年もの長期間にわたり愛用してきたオーディオステレオカセットレコーダーTC-K55であるが
先日(2012年3月) 突然テープが走行しなくなった。
ケースを開けてみると あいにくキャプスタンのフライホイール駆動ベルトが切れていた。
ソニーサービスセンターに部品を問い合わせたものの この機種の部品は一切無いとの回答がきてがっかり。
しかし WEBで丹念に調べてみると Yhoo!オークションショップや千石通商などで 電気製品修理用のゴムベルトを
販売していることが判った。
早速 セットを分解し使用されている3本のゴムベルトを全て交換することにした。
以下は その時の作業メモです。
TC−K55 外観
MEMO
1. 問題症状
・テープが走行しない。
2. 修理記録
・ケース内外観
ケースカバーを外して中身を見ると ゴムベルト機構はそれほど難しくない。
さすがに往年の機種だけあって 筐体はほとんど ピスで組み立てられていて素人でも分解組み立てが出来る。
ケース、裏面板、全面パネルを丁寧に外して さあ〜 ベルト交換です。
上面 下面
・ゴムベルト機構
・巻き取りリールからカウンタにつながる角ベルト
カウンタが光学リンクでテープ走行有無を監視している。
ベルトが切れるとすぐに走行がstopする機構になっている。
・モーターから巻き取りリールにつながる角ベルト
・モーターからキャプスタンフライフォイールにつながる平ベルト(修理後の写真)
・ベルトのサイズ測定
1) テープカウンタ ドライブベルト
幅(W) = 1.23mm,厚さ(T) = 1.34mm, 長さ(L) = 45mm(2つ折り) x2
= 90mm = 28.6mmΦ
2) テイクアップリール ドライブベルト
幅(W) = 1.26mm,厚さ(T) = 1.28mm, 長さ(L) = 92mm(2つ折り) x2
= 184mm = 59.6mmΦ
3) フライホイール ドライブベルト
これが切れていたベルト
幅(W) = 3.2mm, 厚さ(T) = 0.5mm, 長さ(L) = 246mm = 78.3mmΦ
・代替えベルト探し
千石通商のページで見つけた次のベルトを購入。 注文の次の日に届きました。
1) テープカウンタ ドライブベルト
幅(W) = 1.2mm,厚さ(T) = 1.2mm, 長さ(L) =60mmΦ (@ \158)
2) テイクアップリール ドライブベルト
幅(W) = 1.2mm,厚さ(T) = 1.2mm, 長さ(L) =30mmΦ (@ \158)
3) フライホイール ドライブベルト
幅(W) = 5mm, 厚さ(T) = 0.5mm, 長さ(L) = 80mmΦ (@ \315)
切れていた従来のベルトは劣化して伸びていたはずなので75mmΦの方が良かったが
欠品中だったので仕方なくこの長さでトライした。
(2015.5.1 update)
通常は OKだが 初めに一時停止を押し、その後 スタートすると ベルトが滑り 機構がロックし元に戻らなくなった。
75φが入手可能になったので交換したところ問題なくなった。 あわせて きれていたテープ部分照明(麦球 6v)を交換した。) 。
・新旧ベルト外観 (各左側が旧品。 上方の旧平ベルトは切れている)
・交換の注意点
・テープカウンタ ドライブベルトは カウンターユニット内に回転翼の光センサがじゃましてそのままではベルトが通せない。
前面パネルを外し、機構ユニットを取り外して外してベルトを通す必要がある。
・プーリやゴム滑車は表面が汚れていると滑りやすい。ゴム接触面はアルコールで良く拭くこと。
(2015.5.1 update)
・テープカウンターの桁上げギヤの磨耗と変形で カウンターの動作がぎごちなくなったが 潤滑油を付ける程度に留めた。
・交換修理を終えて
ゴム接触面をクリーニングしたため以前より調子が良くなった。
一時はSONYに見捨てられた機器だが わずかな散財で今よみがえり快調に演奏している。
・商品型格について(蛇足)
ソニーは商品型格に「55」を付けるのが好きだ。 ソニーにとって「55」は特別な意味がある。
・TR−55 (ポケッタブル トランジスタラジオ)
・CCD−TR55 (パスポートサイズ 8mmビデオカメラ)
・TC−K55 (デジタルコントロール カセットテープコーダー)
これらは皆ソニーの自慢のヒット商品である。
SONY TC-K55 |
仕様 |
型式 |
ステレオカセットデッキ |
トラック形式 |
4トラック2チャンネル |
ヘッド |
録再:S&F
消去:F&F |
モーター |
BSLグリーンモーター
ハイトルクモーター |
サーボ方式 |
ホール素子検出周波数サーボ |
ワ・フラッター |
0.04%WRMS |
周波数特性
(メタルテープ) |
20Hz〜19kHz
30Hz〜13kHz ±3dB(0VU録音時) |
SN比 |
59dB(ドルビーoff、ピークレベル、DUADカセット) |
歪率 |
1.0%(DUADカセット) |
入力端子 |
Mic:0.25mV(-70dB)/ローインピーダンスマイクに適合
Line:77.5mV(-20dB)/50kΩ |
出力端子 |
Line:0.435V/50kΩ
Headphone:-28dB/8Ω負荷 |
電源 |
AC100V、50Hz/60Hz |
消費電力 |
16W |
外形寸法 |
幅430×高さ130×奥行290mm |
重量 |
5.2kg |
付属 |
ステレオ接続コード2本
ヘッドクリーニング棒 |
別売 |
ワイヤードリモコン RM-50(\6,000) |
価格 ¥59,800 (1979年)