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CANON EF-S レンズの オートフォーカス迷い(focus hunting) 修理メモ  (2021年 5月17日 記)

  CANON 一眼レフのレンズ(EF-S 18-55mm USM)のアパーチャーケーブルが部分断線を起こして、
  短ZOOM側でカメラシステムエラーが起きた。
  代替えレンズとして家族から不良品と承知で 同じCANON-SマウントのEF-S 17-85mm IS USM をもらい受けた。
  故障内容はオートフォーカスの迷い(focus hunting)の症状であった。
  調べると、この故障モードはこのレンズの持病らしく、多くの人が困っているようだ。
  そこで例によって挑戦心が起き修理に挑戦、故障を回復できたので、その経過を記録しました。
  故障の原因は、AFフォーカス制御に使用されるフォーカスリング位置検出センサでした。
   なお、以下の記事と動画を参考にしました。(動画は非常に分かりやすい丁寧な説明です。感謝します。)
    https://dc.watch.impress.co.jp/cda/other/2008/06/25/8739.html
    https://youtu.be/TwNh0vK-pn4​
    https://youtu.be/oJ0aU3gQTFo

  一方、アパーチャーケーブルが断線した EF-S 18-55mm USM も修理を予定しているので、
  後日別ページとして追記するかもしれません。

 (追記) 2022年8月
  ことの成り行きで、直後に中古品のEF-S 17-85mm IS USM(2号機)を購入した。
  正常品と銘打っていたが、この2号機にも少しFocus Hunting障害があり、同様の処置で修理した。
  修理後、2号機レンズをCANON KISS-Nのメインレンズ使用していたが、2022年8月、広角位置で
  アパーチャーケーブルの断線が発生しケーブル交換した。 その記録をページ最後に追記した。


  レンズ  EF-S 17-85mm IS USM の外観 (USM: 超音波モータ)
   
   光学系は良いが、故障が多いとうわさされているレンズ。


MEMO

1.分解手順メモ
 ・ レンズは以下の手順で分解しました。各写真をクリックすると拡大されます。
   組み立ては逆の手順で行います。


初期状態 マウント外し後  外カバー フォーカスリング PCB
端子盤固定ネジ 2本
マウント固定ネジ 4本
を外す
フレキ 1本を外し、
後部の外カバーを
外す
外カバー フォーカスリングを
外す
コネクタから 5本の
ケーブルを外す
マウントを引き上げて
中側から中央カバー
を強く押し出し外す
1本のネジを外して
PCBを外す

PCB取除き後 PCB台座を外す USM部分 ZOOMリング PCB
PCB台を固定している
5本のネジを外す
台を引き上げて除去 USMのリングが
むき出しに
ZOOMリングゴムを
抜きテープを剥がす
ZOOMエンコーダの
ブラシ外す ネジ1本

ZOOMブラシ マウント外し後  筐体 前後固定ネジ 前後に分離 後半部分
エンコーダ ブラシ ZOOMリング 17mm側
にして、スリット内の
固定ネジ 3組を外す
リングと ネジの
組み合わせ (3組)
引き抜くと分離。
光学系は非分解
後横から見た写真

後半部分(後から) 後半部分(前から)  加速度センサー台 フォーカス アーム フォーカスセンサー
一番手前がUSM XY加速度センサー
PCB外す 3本のネジ
5本のネジを外して
Gセンサの台を外す
フォークがフォーカス
リングを駆動する
摺動の小レンズを
2本ネジで外す


・ フォーカスリング移動量検出センサの基幹部品 外観
 
   
   半月板はフォーカスリングに固定されている。微細(肉眼では見えない)回折スリット構造の板。
   その上を摺動する小レンズにも、より荒いピッチの回折スリットが刻まれていて、
   2枚の板を重ね合わせるとモアレが発生する。 この小レンズにピンポイントでLED光を透過し、
   モアレをカウウンとすることでフォーカスリングの移動量を知る原理
と考えられる。

2.エラーの原因
・ この精密光学素子が汚れると、フォーカスリングの移動量を検出できなくなる。
  カメラ本体から指示される移動量をセンs-のフィードバックでモニタできないと、
  Focus Hunting フォーカス迷い状態になる。


3.対策
・ 半月板と小レンズに IPA(イソプロピルアルコール)を塗布して、レンズクリーナーの布で丁寧に拭う。
  念のため 3回繰り返し洗浄した。
・ 消毒用のエタノール(75%)では うまくいかない。そのため、純度99.99%のIPAを 1リットル購入した。
 (実際の使用量はわずか数滴でした。

4.結果
・ 逆の順番でレンズを組み立てて、カメラに装着して試験した。
  フォーカスは、キビキビと一発で決まるようになった。


<あとがき>

・ 今回初めて一眼レフのレンズ分解をしてみた。レンズ内にMPU、駆動モータ等の部品が巧みに
  搭載されていて、もはやカメラのレンズは、光学製品と言うより電子機器のカテゴリーです。
・ 手持ちの同じ型格2本のレンズで同様の処置をとった。
  2本目は、AFが一応効いていたがこの処理で驚くほど機敏なAFに改善された。
・ 修理の肝は、しっかり汚れを拭うことと、組み立て時の前後合体の困難さだろう。
  カメラ、レンズを使用するとき、内部を汚さないように気を付けることが重要だが、
  このメンテは、慣れれば非常に難しい技ではないので、今後、必要に応じて実行してみたい。
・ ZOOM、フォーカシングの場合のレンズの伸縮は、内部のフレキしブルケーブルにとっては
 曲げられる作用になるので、破損に繋がりやすい。
 特にアパーチャのケーブルは、曲げが多くなる構造なので疲労による断線が気になります。
 → アパーチャケーブル交換は、レンズ部分の分解を伴うのでたいへんですが、
    安価なので保険として予備ケーブルを買っておきます。(\370)

故障は、完全に直りました。。。。

メデタシめでたし (^_^)



MEMO part-2 (2022/8/10 追記)

1.アパーチャーケーブルの交換 分解手順メモ
 ・ レンズの前後分離までは同じ手順です。
 ・ フォ-カス等の制御系はレンズ後部に、アパーチャー(絞り)等の光学系はレンズ前部にあります。
   レンズは以下の手順で分解しました。各写真をクリックすると拡大されます。
   組み立ては逆の手順で行います。


前後に分離 前部 マレンズ系  後方から 絞りケーブル 手振防止ケーブル
レンズ前後に分離
以下、光学系修理
レンズ前部
光学系
後方から見る 手前: 絞り用ケーブル 手前: 手振れ防止用
ケーブル

望遠側に伸長 後ろ斜めより  鏡胴固定スリーブ 手振れレンズ群 全スリーブを外す
ZOOM鏡胴を
望遠側に伸長
9個の白スリーブで
ZOOM時の
レンズ間距離を制御
白スリーブを外す スリーブ6個で中間の
手振れレンズ群が
分離できる
絞り部分固定の
スリーブは 3個

手振れ除去後 絞りユニット配置  絞りユニット組立 絞りユニット単体 ケーブルクラック
絞りフレキは折れ曲り
鏡胴に固定(伸び対応)
絞り側の
フレキ固定状況
外した絞りユニット 絞り制御モーター単体 フレキの
クラック(断線)部分

ケーブル交換 交換後 半田付け様子 修理完了
半田を吸い取り、
旧ケーブルを外す。
新旧ケーブル比較
新フレキケーブルを
半田付け
半田付けの様子 スライド部分に少し
シリコングリス塗布
逆手順で組み立て


<追記のあとがき>
・ 幸い、フレキ断線を予想して予備のケーブルを買って置いたので、故障後すぐに修理できた。
  当時のアマゾン価格は370円だったが、現在は540円に値上がりしている。
  構造的に壊れやすそうだし同じレンズを2本所有しているので予備に注文しておこうと思う。

またも故障は、完全に直りました。。。。

メデタシめでたし (^_^)